今日のは、書籍というか正確には記事。2030年の日本経済/中央公論2011年8月号に掲載された東京大学教授
にして「フリーエージェント社会の到来」で解説を書いていた玄田先生の記事。内容はインタビューをまとめた内容になっているのだけれど、氏の立場がわかりやすくまとめられている。
■ 20年後の2030年の雇用状況、今とは正反対のことが起きていると考えた
方がいい。経済全般の制度やシステムはだいたい15年くらいで寿命が
尽きるものだから。
■ 今までの「いい大学を出て…」が人生の成功だとは思えなくなったが、
それに代わるモデルが見つかっていない。
■ 誰もが正社員になれれば安心して暮らすことができるかもしれないが、
本当の意味で創造性のある社会ではないだろう。雇われて働くというだけ
じゃないものが生まれないと、この先の日本は厳しい。
■ 今の日本で深刻なのは、自営業がずっと減り続けていること。
非農林業の就業者に占める自営業者の比率は、1970年代末の14.2%以降、
一貫して減り続け、2010年には7.8%まで落ちている。今回の大震災の
ようなことが起きると、自営業を始めるのに慎重になるだろう。また、
自営業は否が応でも家族(円満な夫婦関係など)が拠り所だが、単身世帯の
増加など、家族形態の変容もあって、反転は難しいだろう。
■ 働く意識よりも環境が変わっている。かつて仕事は組織単位だったが、
今はプロジェクトベース。そうした開放性がないと、不確実な問題、不
確実な将来に対処できないから。ウイークタイズ=ゆるやかな絆が重要。
■ 雇用に関して政策的にできることは、長期失業者や大卒未内定者解消のために、
就職斡旋のプロを活用すること。日本は他の先進国に比べて失業者の
就職活動を公的に支援する人の数が圧倒的に足りていない。公的職業紹介
機関の職員は、一人あたり英独の7~10倍の失業者を担当しているが、
さらに減らそうとしている。経費削減と失業者増のどちらを取るか
考えなくてはならない。
■ 若い人たちにばかり負担を押しつける社会に決別し、今はまだ豊かな
高齢者の資産を若者に投資することで、高齢者自身の安定した老後を
保証するような新しい仕組みも必要。