2011/10/05

読了した書籍のエッセンス(4) ダントツ経営 コマツが目指す「日本国籍グローバル企業」/坂根正弘

今日はグローバル化に成功したベストプラクティスとしての坂根コマツ会長の著書。

世の中の景況感の影響を受けやすい建機業界にあって、三菱重工との合弁で日本市場に進出してきたキャタピラーという巨人と競り合うばかりか、そのお膝元である米国市場への進出に成功し、今最もホットな中国市場でも成功を収めている日本有数のグローバル化成功例といわれるコマツの取り組みをとてもわかりやすく読みやすくまとめた一冊。きちんと勉強していれば高校生でも十分理解できるのではと思うくらい。

◆ 中国市場の先進性: 日本や米国と違って、白紙からあるべきモデルを実現してきた分、コマツの中国市場の仕組みは先進的かつ理想的。

◆ ダントツ・プロジェクト: 商品開発の際には競合が追いつけないような圧倒的優位性の創出に心血を注ぐ。そのために、まず大事なのが捨て(られ)るものの見極め。

◆ オリジナリティの活かしどころ:社内システム開発の際にオリジナリティを発揮してあれこれカスタマイズする日本企業が多いが、コマツでは業務を標準化するために、社内システムは汎用ソフトを使い、開発部門は売却した。

◆ 成長とコストを分けて考える: コスト削減といって、変動費を削るのは間違い(とりわけ下請けを泣かせるのは×)。まずは不要な固定費の削減が第一(不採算事業からの撤退や余剰人員の削減)。

◆ M&Aの基本スタンス:「どちらがオーナーになったほうが、その事業がより発展していけるか」その一点のみ。

◆ コマツウェイ: 経営者が代替わりしていくにつれて、コマツらしさが洗練され進化し、企業価値が高まっていくことを目指して、代々の経営者の間で申し送り、また従業員の間で共有する行動指針。特に従業員向けの内容が、カリスマオーナー社長が書いたトップダウンの社是ではなく、現場の匠の声を反映した点が特長。

◆ 今後の方向性は環境、安全性、ICT: コムトラックスというICT技術が、環境と安全性の向上に貢献している様子が印象的。

◆ 「為替に一喜一憂しない」:この前NHKでやっていたテレビでも、円高に対する被害者意識が強い視聴者投稿が目立っていた。だから、円高是正なんてできもしないことに貴重な税金を使おうとする政治家が後を絶たないのだと思う。この本の最後の章には、正しい政策や政治リーダーを見極める視点も取り上げられている。

昔、米系のIT企業でマーケティングのマネージャをしていたころ、外部環境が厳しく売上が上がらない中で本社に出張したときに、本社側のカウンターパートだったマネージャが、「困ったときは"Do the right thing!"」と励ましてくれました。うまくやるでも、賢くやるでもなく、正しい(と思う)ことをやる。この本を読んで、その時のことが思い出された。