「国内クラウドサービス市場は本格的な発展、拡大期に--IDC予測」という記事を読んでの感想。
記事のトーンは「クラウド時代の到来」に染まっていますが、そのクラウドのITサービス市場全体における貢献度はどの程度のものか、気になって調べてみました。
今年に2月に同じIDCジャパンの発表によれば(「国内ITサービス市場、2011年はプラス成長回復の見込み--IDC予測」)によれば、2010年の国内ITサービス市場は、前年比1.4%減の4兆9500億円。一方、2010年のクラウドサービスの市場規模は、前年比成長率45.3%増の454億円。わずか、0.9%です。予測されている最も遠い将来である2015年で比べても、5兆5521億円に対する1947億円、3.5%です。
セキュリティの市場規模と比べてみましょう。同じIDCジャパンが昨年発表したセキュリティサービス市場規模の見通しによれば、2009年は6,177億円、2014年は9,745億円だそうです。乱暴ですが、2010年、2015年の市場規模に当てはめると、2010年の4兆9500億円に対する12.5%、2015年の5兆5521億円に対する17.6%にあたります。セキュリティは18%近くを占めるのに、クラウドは4%に満たない、ということになります。
このクラウドサービスの市場規模には、広告モデルの寄与は含まれていません。直感的に表現すると、Googleなどによるパブリッククラウドの市場を除くと、足下でIT市場に占める比率は1%にも達していない、ということになります。この結果にはどうにも気持ちの悪いギャップがあります。いくらなんでも、もう少しクラウドは市場貢献するのではないか、ということです。調査におけるクラウドサービスの定義に問題があるかもしれませんし、ITサービス市場全体の調査と個別セグメントの調査に整合性が無いのかもしれません。でも、それらの可能性をとりあえず横に置いてと考えると、このギャップは、ITサービス市場の見通しと実態が大きく乖離していくことを示しているのではないか、という考えに落ち着きました。過去の市場規模を土台に鉛筆なめなめして算出していては、クラウド時代の市場は見通せない、ということなのかもしれません。そうであるなら、そのことは、とりもなおさず、国内のITサービス事業者たちがビジネスモデルの変革に迫られている、ということにもなるでしょう。クラウドはIT市場を変革するのか、しないのか。肝心の見通しは、これらの記事のどこにも書かれていません。