HELP NET SECURITYのIntellectual capital is the new cybercrime currencyという記事を読んでの感想です。
この記事で目を惹くグラフから、すでに2005年には大手企業における無形資産の企業価値に占める割合が80%に達していることがわかります。私がアナリストに転身した2000年ごろには、所有する現金や不動産の多寡よりも、算出困難なブランド力や保有する知的財産に重きを置いて企業価値を評価する考え方が、この日本でも台頭し始めていました。それでも、今と違って、上場してお金が入ったからと、自社ビルを建てる会社がまだあって、決算説明会でやり玉に挙がったりしていました。今や、個人においても、地価の上昇を見込んで無理して持ち家を購入するのは合理的とは言えませんよね。そんな思いを新たにしたもので、津波で流された跡地に復興を試みる方々に「お気持ちはわかりますが、土地に対するこだわりを割り切った方が幸せになれるかもしれませんよ」とテレビの前でひとりごちてしまいました。
唐突に脱線してしまいましたが、この記事は、企業が知的資産の保護にどのように取り組んでいるかを、米、英、日、中、印、中東などの企業を対象に調査した結果の報告書に関するものです。記事によれば、知的財産が最もリスクにさらされていると思っているのが中国、ロシア、インドの企業で、最も安全だと思っているのは米、英、独の3ヵ国の企業だそうです。また、米国、中国、インドのIT企業が国外の機密情報保護にかけている予算は、1週間あたり100万ドルにもなるそうです。ちなみに、情報漏えいが発生したときに、正直に発表している企業は3割で、半分の企業は情報漏えいが起きても、再発防止策を講じていないとか。あまりに雑ぱくな統計でイマイチ役に立ちませんが、情報セキュリティ対策がどうも合理性を欠いている印象は否めません。
また、サイバー犯罪集団といえば、もっぱら富裕層や法人の口座から不正にお金を引き出すことに血道を上げていると思われてきましたが、最近では企業の機密情報を不正に売却して換金するモデルも確立されてきている。そう、この報告書は警鐘を鳴らしてるわけですが、日本企業の場合は、まずは何が機密情報なのか、きちんと分別する能力を付けないと、個人情報保護にまつわるおバカな状況を繰り返すことになるので、その点についても警鐘を鳴らしておきたいと思います。